現代民話考〈9〉木霊・蛇・木の精霊・戦争と木

  松谷みよ子によって集められた明治以降の民話集その9。今回のテーマは木霊・蛇等等。

 蛇はヤマタノオロチを引き合いに出すまでも無く、元より生と死の象徴だったり神の使いだったり信仰の対象であり、身近な存在であるので話例も多い。驚くのは大蛇の話が多いことで、想像していたよりも大蛇が身近な存在であったようだ。少なくとも「いるかどうかわからない」ではなく、「知り合いが経験した」くらいの感じで、現代でいう「芸能人を見た」くらいの、いることは間違いない(でも自分は見てない)くらいのレベルの存在感だったようだ。蛇に呑まれた人が助かった話では、呑まれた人の耳が溶けかかっていたとかリアルな描写もあって恐ろしい。東京都の話も多いのも、身近な感じで良い。