ホッグ連続殺人

短編ばかり読んでると長編が読みたくなるので、積読から「本格ミステリ」らしい一冊。
自己の流儀にこだわる探偵、右往左往する警察、そして挑発的な犯行(犯人)と、本格ミステリにふさわしい要素は揃っているが、文章があっさりしているのか読みやすかった。読みやすいというのは大事な点で、読みづらければ面白さは半減してしまうし、読みやすければ頭に入りやすいので2〜3割り増しで面白くなる。当たり前だが大事なこと。
肝心の犯人はすぐにわかってしまったが、連続殺人の裏、犯行理由とか犯行の経緯は最後まで読めなかった。というより先読みできたためしがない。この辺は作者次第でどうにでもなる(と私は思っている)ので、最近ではそこまで先読みする気も無く、むしろそれを読むのがミステリを読む楽しみになってきている。ここがあまりにも突拍子も無い理由付けだと残念な作品ということになり、なにか読者の盲点を突くようなものであれば名作となる。ので私にとってはすごく重要なポイント。『ホッグ連続殺人』はその点で中庸、というか平均点。全体で見れば面白かった。

ホッグ連続殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ホッグ連続殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)