ジャンピング・ジェニイ

アントニイ・バークリーの長編小説。
趣向を凝らしたパーティーに用意された絞首台に、本物の死体がぶら下がっていた。ちなみに絞首刑に処されてぶら下がっている死体をジャンピング・ジャックというらしい。女性がぶら下がっていたから、ジャンピング・ジェニイ。
主人公である探偵ロジャー・シェリンガムはかなりの迷探偵らしく(他のシリーズ作品は読んでないので知らないが)、捜査の初期段階から自分がもっとも疑わしい人物になってしまう。これだけで十分におかしい探偵小説であることはわかると思うが、この小説が書かれたのが1933年、探偵小説黄金期の作品であることを考えると、著者があまりにも早く探偵小説の可能性を広げていたことに驚く。しかも、これは結末がバレることにもなるのだが、物語のかなり早い段階で読者に犯行現場を読ませてしまい、読者は犯人が誰であるかを知った上で探偵の迷捜査を楽しめるようになっている。だが実は本当の結末が用意されており、全てを読み終えるとすこしばかりゾクっとさせられる。
もっとも最後の章でのどんでん返しは無くても全く支障が無い。と言うことは別の結末を用意することもできたのかも知れず、そう考えると著者による推理小説ファンへの皮肉のようにも感じられる。普通の推理小説に飽きた人にオススメ。

ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)

ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)