スプートニクの恋人

「ぼく」の風変わりな女友達「すみれ」が年上の女性「ミュウ」に一目惚れして一緒に出かけた先で失踪した、という話。これだけ書くとわけがわからないが筋としては今までで一番わかりやすいかもしれないのでこれだけしか書かない私が悪いかもしれないことに今気がついた。
さて「スプートニクの恋人」も言ってみれば失踪事件のお話で村上春樹はどれだけ登場人物を失踪させれば気が済むのか知らないが、とにかくこの作品でも孤独とかつながりのようなものが感じられる。ミュウはフランスの観覧車で、ぼくはすみれの経験と文章を通して、すみれはギリシャで、おそらくはスプートニク号の犬が宇宙を眺めるように孤独な自分と世界を見た。その結果ミュウは向こう側に半身を残してきてしまい、ぼくはバランスをとり、すみれは結局帰ってきた。どれが一番の正解だったかはよくわからない、というよりただ眼前に繰り広げられる物語についてふうんと思った。