風の歌を聴け

村上春樹の小説。処女作。
80年代というと私は子供時代の真っ只中で、テレビ全盛期のはじまりで、今思うと洗練されていないだけパワーがあった気がする。ギラギラしていた印象がある。大人になるとギラギラしなくてはいけないとまで考えていたわけではないが、テレビで見る大人は大体ギラギラしていた。古手川裕子とか。本当に古手川裕子がギラギラしていたかどうかはわからないけども。
そんな印象の時代から少し下ってくるとギラギラしていないと逆にカッコ良くなってくる、というのもあったのかないのか、私の世代周辺の人にはそういった王道を外れたところにカッコ良さを感じてしまう傾向があるように思う。実際にそれを求めるかどうかはまた別の話になるが、中央線沿線のサブカル密集地帯を支える年代といっても良いだろう。
そういうものさしの私が村上春樹を読むと、というとなにか言い訳のように聞こえなくも無いが、わりと最近の作品は含むところが多いのかなんなのか面白く感じるのだが、初期の作品は気取ってるというか、衒いがうるさいというか、よくわからない。僕が地元で過ごす夏休みの話。を、ハードボイルドに。と書くと身も蓋も無いのだが、これをほめたらスノッブに見られるんではないかという恐れを抱かせる。そう見られて困ることも無いか。ボギーとか好きだから身の回りの話をそんな風にしてみただけ、だったりしたら面白いんだけど。

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)