ノルウェイの森 (上)(下)

村上春樹の長編小説。すごくいまさらではある。
主人公は友達に死なれた喪失感を引きずる大学生。友人の彼女も同じくその死を引きずっており挙句精神に異常を来たし、結局自殺。友人の彼女にも引かれていた主人公だが、大学で別に明るい彼女を見つけ、主人公は友人の彼女に対する責任を感じつつも父親の死にもめげずにがんばっている明るい方の彼女の姿にも魅かれる。その合間にいろんなところでいろんな相手とセックスする。こうして書くと、暗いんだかなんだかよくわからない話だなあ。
誰にしても人の死というのは引きずるもので、とかく亡くなった人が近しい人であれば尚更である。どんなに大切な人であっても生きてる人の方が大事であるとか、悲しみすぎて死んだ人を悲しませてはいけないとか、それこそ死んだ人の数だけ勝手なことが言われているが、亡くした悲しみというのは当人でなければわからないのが当然である。それなりに自分の中で折り合いをつけ、折に触れて故人を偲ぶというのがどちらかといえば健康なやり方ではなかろうか。とは思うものの、そうでなければ間違いというものでもないし、自分にお鉢が回ってきたらその通りにできるという自信もない。これはとてもむずかしい問題ですよ。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)