やらないにはやらないだけの理由があるのですよ。

 出社したら私のPCがWindows11になっていた。

 私は更新しても構わなかったのだが、いろいろ不具合が起きた時の面倒臭さを考えて更新していなかった。私用のPCがWin11なので知っているが、右クリックしたときのメニュー?とかが変わったから使いづらいんだよね。と思いつつ、あきらめて使っていたら、しばらくして新入社員Tさんから共有ファイルが開けなくなってると苦情。そらみたことか。現在の状況を説明すると顔を引きつらせて「更新したの、もしかして私かもしれません・・・」とのこと。まあそうじゃないかとは思っていましたが。

 やらないにはやらないだけの理由があるのですよ。そう、特に仕事は合理的にやるべきものだから、やるもやらないも大抵は理由があるものである。「巨人の肩の上」ではないが、先人の仕事に敬意を払ってもらえるといろいろとやりやすいし、便利なので、変更を加えるなら一通りやってからにしてほしいところである。という話で思い出したのが、もう何年も前に働いていたIさんの話。

 私の住んでいる島にはノニという木がはえている。不味いことで有名なノニジュースのノニである。このノニには果実があり、殺菌能力があるのか現地ではトイレの掃除などに使う。Iさんはそのノニの実を「食べられるんじゃないですか?」「食べられますよ!」と、周りが止めるのも聞かずにガブッと食べてしまった。電光石火の素早さである。その瞬間、顔が歪んだ。いや歪んではいなかったが(歪んではいなかった)引っ込みがつかなくなったのか空気が読めないのか、Iさんは「おいしくはないですけど食べられますよ」とむしゃむしゃと咀嚼していた。歪んだのは周りの人たちの表情であった。

 後でIさんには「昔から食糧の乏しいこの島に生えているにもかかわらず、島の人がノニを食べないのは何か理由があるんじゃないかなとか思いませんか?」と厳しく言っておいたのだが、これもまた「巨人の肩の上」である。敬意を払うというほど大げさでなくとも、立ち止まってちょっと考えるくらいの余裕は常に持っておきたいし持っておいてほしいものである。もっとも私のPCのOSはどこまで行っても私が決めるので変えなくて良いのだが。