全日本から別れたプロレス団体の40年の軌跡。ではなく、ここ20年ばかり停滞している日本を立て直すためのアイディアの本。
人工知能の活用、女性や高齢者を労働力として生かすための働き方の改善、労働の生産性を上げることなどによりこれまでの遅れを取り戻すことができる、という説得力のある話。いかに日本の教育と多くの会社が時代に即していないか、著者が挙げるデータを見るとよくわかる。教育は詰め込みでなく創造する能力を育て、労働は時間を稼ぐのではなく生産性で勝負する。これらができれば遅れを取り戻すことが可能としているが、どちらも評価が難しそうで、教育する側、会社側の負担が大きいから簡単ではない。簡単ではないから今までやってこなかったのだろうけども、そういうことを言ってる場合ではないのである。
著者が日本について嘆くことの一つに理系知識のある人の少なさも挙げられており、早急に改善されるべき点の一つとしている。AIを扱うにあたっての基礎知識(リテラシー)がないことにはAIを利用して国力を上げることは叶わないというわけだ。
リテラシーと言えば、このところ社会や技術にこのリテラシーが追いついていないと思うことが少なくない。プリウスの事故やバカッター騒動など例を挙げれば枚挙に暇がないが、その原因は貧富の二極化に伴うバカの増加ということもあるだろうし、無責任なメディアということもあるだろうけども、新しい物を使うにあたりその扱い方を学ばないから問題が起こるというのもその一つではないだろうか。
それから言及されていなかったが、日本の生産性の低さは人口の増加に伴う雇用増を目的にしていたことにも由来すると思うので、今後人口が減っていくにあたり仕事を効率的にしていくことは可能だし理にかなっている。政府もこういった問題点に気づいてないわけではないようなので、将来を見据えた政治運営資金運用をしてもらいたいものである。