非感染国の日常。

 現在マーシャル諸島は、世界でも数少ないCOVID-19の非感染国としてがんばっている。非常事態宣言により全ての入国は禁止され、週に数便あった国際線は月1便になった。貨物の飛行機は飛んでいるのかどうかよくわからないが、航空便の荷物は減便により到着が遅れている。船便は検疫で少し遅れるものの本数は変わらず運航している。商店の品揃えは十分とは言えないが、品薄はコロナ前からのことなので仕方ない。ガソリンや軽油などの燃料が不足しないのはありがたい。むしろオイル安でいつもより安い。

f:id:enamel:20200718133926j:plain

本文とは関係ありません。

 国外の影響を受けつつもマスクのいらないコロナ前の世界が続いているわけだが、国外にいる国民を国に帰そうという動きがある。ちなみにFSMにいた数人は帰国済、キリバス、グアム、フィジー、フィリピン、台湾などにも少数が待機しているので今月か来月には帰国することになりそう。ただアメリカ(ハワイ含む)には待機中の人が数百人いるらしく、これについては政府も頭を悩ませている様子。コロナが流行り出してから保健省は急いで検疫隔離の施設*1を作ったり必要となる設備を購入(もしくは日米台に緊急支援を依頼)したりしているが、隔離施設は数十人分、重症者の治療に必要な設備は10人分くらいしかないらしく、十分な数が揃っているとは言えない。

 政府は精一杯のことをしているとはいえ、そのような状況で数百人の受け入れ、もしくは入国制限の解除をしてよいものだろうか?とはさすがにのんびりした現地人も思いが至るようで、制限解除に反対している人も多いらしい。飛行機が飛んでくるなら一族郎党を引き連れて滑走路に押しかけ、着陸できないようにしてやる!と息巻いている酋長もいるらしい。たぶん本気である。

f:id:enamel:20200402143005j:plain

重機も海水浴。

 ちなみに米軍基地のあるクワジェリンでは最低限の人員交代はあるようで、アメリカから来た人には隔離施設で21日間待機が義務付けられている。なぜか到着後に検疫隔離を知った人もいるようで、中には検疫隔離を嫌ってそのまま帰国した人もいるらしい。アメリカに戻ってもまた隔離されるだろうに。

 先週は「既にコロナ陽性がマジュロ(もしくはクワジェリン)で出た」という噂がSNSなどで広まったようで、政府が「そんなことはありません」という声明をわざわざ出していた。人々の不安も高まっているようだ。

 今後は遅かれ早かれコロナは上陸するだろうから、個人でもその後のことを考えて対策を練っておかなければならないのは厄介である。厄介ではあるが、いつも世界的な出来事も他人事だったので、不謹慎かもしれないがちょっと楽しんでいる。とはいえ上陸されたら一気に広まって大変なことになるだろうから、非感染が続いてくれるに越したことはない。

*1:マジュロに作られた隔離施設は6人一部屋の相部屋でWiFi完備。食事は全てフライドチキンらしい。