前前から「模倣犯」を読もうと思っていたのだけれども前回帰国時の懐具合ではまだまだ古本屋に並ぶ様子はなかったので代わりにブックオフで買ったのが「火車」とこの「理由」。
この作品は高層マンションで起きた、犯人も被害者も誰だかわからない殺人事件の顛末をドキュメンタリー調にした小説で、事件解明の経過を登場人物のインタビューを借りて少しずつ明かしていくやり方は楽しかった。
また様様なかたちで多くの人が事件に関わり、それぞれの人が持つそれぞれの舞台裏には現代の日本が描かれていて、これもよかった。それら全てが問題と呼べるような大きなものではないかもしれないが、良い面も悪い面も現代の日本人が抱えているものであってその中の一つが犯人において露わになった怪物的なものなのだろう。今まで読んだ宮部作品の中では一番面白かった。
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/06/29
- メディア: 文庫
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