それから

主人公・代助は実家から仕送りをもらい、労働を拒否して生きているいわゆる高等遊民で、友人が(公金横領に巻き込まれたか何かで)地方から帰ってきたことで、かつて愛していたその妻である三千代への愛情が再燃、そのために葛藤し、最終的には実家からの援助を打ち切られても三千代との関係を選ぶ話。以上あらすじ。
これだけ書くとなんともないように見えるが、明治という時代における不倫の重大さ(代助と三千代はそこまで至らないようだが、当時は姦通罪という立派な罪)、また代助にとっての働くということの耐え難い生生しさ等を踏まえて大した話となった。現代的な目で見ると平岡、兄等と比べて代助の神経の細さが目立つ上、恋愛真っ只中の自分に酔っていることを差し引いてもラストに見られる代助の真剣さは少しあぶない。そういう意味でも代助と三千代の「それから」が気になる。

それから (新潮文庫)

それから (新潮文庫)