シベリア超特急

監督:水野晴郎 (1996 日本)
出演:水野晴郎、かたせ梨乃、アガサ・モレシャン他
内容:シベリア超特急で起こった殺人事件を山下大将が解決
セリフの棒読みもカツゼツの悪さも体型もMIKE MIZUNOも市川昆的イメージ挿入も、全てがつらい。肝心の山下大将が水野晴郎でしかなくてつらい。
この作品に対して真っ当な話をするというのがいかに無粋な行為であるかということを踏まえた上で、敢えて真っ当な意見を言ってみると、映画の評論家が監督になるというのは確かに1つの夢の実現ではあると思う。世界の名匠たちの様々な技法を駆使し、今まで見たどの映画よりもたくさんのプロットを盛り込んで作りたくなる気持ちもわからなくはない。しかし、その技法は名匠の時代に発明されたからこそ凄いのであって、またたくさんのプロットも全て手垢にまみれたものではどんなに盛り込もうと意味がない。これらを最もわかっているはずの評論家が、監督・主演という仕事自体に舞い上がって全ての愚行を実践したのがこの作品。つまりオリジナリティを感じさせるものがブクブクと太った腹しかない。
以上のようなことから、『シベ超』は普通に鑑賞するべきものではなく(そんな人はいないと思うが)、「水野晴郎・その狂気の世界」の第一章としてみて笑うべき作品。もしくは「陳腐」という言葉の具体例。他にも言いたいことはイロイロとありますが、最も驚きなのはこの作品が劇場公開されたこと。