70年代の景色『都会のアリス』

監督:ヴィム・ヴェンダース(1974 独)
出演:リュディガー・フォーグラー他

 旅行記の執筆のためアメリカを放浪していたドイツ人作家フィリップが、帰国のため立ち寄った空港で9歳の少女アリスとその母に出会う。ひょんな事から少女をアムステルダムまで連れて行くこととなったフィリップ。しかし待ち合わせたアムステルダムに母の姿はなく、彼は少女の記憶を頼りに祖母の家を探す旅に出ることとなる。(Wikipediaより)


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 ドイツ映画といえばヴェンダース、そう思っていた時期が私にもありました。『さすらい』『アメリカの友人』『ベルリン・天使の詩』とタイトルはたくさん覚えているものの、内容となるとあれ、覚えていない・・・そんな印象の監督である。確実に見たと言い切れるのは『パリ、テキサス』、あとは『10ミニッツ・オルダー』の短編、これはトラックの運転手の話で、音楽がeelsの「Souljacker」か何かで曲と内容がマッチしていたので覚えているけども、『ソウル・オブ・マン』は、あれ、どんな話だったかな。

 今回見た『都会のアリス』も同様で、見たような気がするのだけども定かでない。だからU-Nextで見つけたのを久しぶりに見た。するとどうでしょう。やはりところどころ見たような記憶はあるのでした。まあ一度目か二度目かそんなことはどうでも良いのだが、それだけ記憶に残らない平坦な話であることは間違いがない。ただ1970年代、ジョン・フォードの死がニュースになっていたので1973年、今からちょうど50年(!)前のニューヨーク、アムステルダム、あとドイツあちこちの映像としては見ていて楽しい。物語を求めてしまうと物足りない映画監督というのが良いのか悪いのかはなんとも言えないが、そういう人がいても良いとは思うし、実際にそういう評価なのかもしれない。

 当時の景色ということで言えば、そもそも知らないおじさんと少女という組み合わせも、現代ではちょっとあぶないので当時ならではと言えなくもない。そういえば似たような組み合わせの『ペーパームーン』も同じ頃の映画で、監督が『ペーパームーン』の試写を見て内容が似ていたために製作を断念しようとした、という逸話が残っている。でもあちらは物語がちゃんとあるのでそういう意味ではあまり似てないのだが、監督自身が似てると思ったらしいことがちょっとおかしい。あとチャック・ベリーがコンサート!ということで現役の人として扱われていることにも時代を感じる。

 主演のおじさん、リュディガー・フォーグラーの顔はどこかで見た犬のような顔だと思って見ていたが、これを書くにあたり調べたら20年後の同じくヴェンダース監督作品の『リスボン物語』にも出ていた。これもまた例によってうろ覚えだが面白かった印象がある。そういえばこのおじさんはあの映画でもカメラを覗いていたような気がする。いや映画の音声だったかな。

都会のアリス(字幕版)

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