人生をあきらめた男に沸いた希望『コンタクト・キラー』

監督:アキ・カウリスマキ(1990 芬=瑞)
出演:ジャン=ピエール・レオ、マージ・クラーク、ケネス・コリー他
 長年勤めた職場を追われ、家族も恋人もなく、人生に絶望したアンリは、自殺を試みるもうまくいかず、思い余ってプロの殺し屋“コントラクト・キラー”に自分の殺しを依頼する。が、その直後、アンリは花売り娘のマーガレットと恋に落ちてしまい……。(Yahoo!映画より)

 


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 Yahoo!映画の説明だとわずかに違和感があるのは"コントラクト・キラー"という殺し屋に依頼したように読めるからで、現題は"I hired a contract killer"で殺人を依頼した、くらいの意味。面白いのはその殺人の標的が自分であることにある。そして思い切って人生をあきらめた途端に生きる欲求が湧いてくることにある。とかくかように人生はうまくいかないものであるが、そこは弱者に寄り添うカウリスマキ映画、突き放すようなことはせず、悪い方へ転がっていくように見せかけて、いや実際に悪い方に転がっては行くのだが、ギリギリのところで主人公は救済される。そんな塞翁が馬的なおとぎ話を読んでるような気分になる映画である。ちなみに悪役、というべきか、主人公の依頼で主人公を襲うことになる殺し屋だが、彼もまた、というかむしろ主人公以上に哀しい人生を送る男であることも面白いというとちょっとアレだが面白い。ジョー・ストラマーの弾き語りも渋い。U-NEXTで見たが、よく考えたらDVDを持っていたんだった。