グランド・フィナーレ

監督・脚本:パオロ・ソレンティーノ(2015 伊=仏=英=瑞)
出演:マイケル・ケインハーヴェイ・カイテルレイチェル・ワイズポール・ダノジェーン・フォンダ

80歳になり現役を退いたイギリス人作曲家フレッド(マイケル・ケイン)は、親友の映画監督ミック(ハーヴェイ・カイテル)と共にアルプスの高級ホテルで休暇を満喫していた。ある日、エリザベス女王の使者という男が彼を訪ね、フレッドの代表作を女王のために演奏してほしいと依頼する。ある理由からそれを断ったフレッドだったが、ホテルの滞在客との交流を通し心境に変化が起き……。(Yahoo!映画より)

 功成り名を遂げた人々が集まる高級リゾート、と聞けば華やかなイメージだが、滞在客がひたすら静かに過ごす姿は、若い人がいなければ老人ホームと間違えるほど活気がない。否定的に描いているようにすら見える。また各人優雅に過ごしているように見えてその実それぞれ事情を抱えているのは世の常である。リゾートでの出来事や出会いを経て、それぞれの解決に至る過程が描かれる。

 主人公フレッドの場合は名曲を残した作曲家ということで世に名が知れ渡っている。しかしその名曲の演奏依頼をかたくなに断っている。女王陛下からの依頼ですら断っている。イギリス訛りの強い儀典局の役人も子供のお使いになってしまいかわいそうなくらいである。ただそれにはちゃんと理由がある。その明かされない理由が明かされるまでで一つのドラマとなる。その理由がまた傍から見ていてはわからないところがなんというかリアルな感じで良い。

 中盤あたりから静かなリゾートに様々な出来事が起こり、それにより滞在客たちも様々な反応を見せる。そして人生は続く(続かない人もいる)。ゆったり進行した前半に比べると後半の展開は急ぎ過ぎ、詰め込み過ぎなようにも思えた。

 リゾートにはマラドーナも滞在していて彼のくだりもあった。これを削ればもう少し詰め込まなくても良かったのではとも思えるが、監督はナポリの出身だそうなのでこれは仕方がないか。 

グランドフィナーレ(字幕版)

グランドフィナーレ(字幕版)

  • 発売日: 2016/10/26
  • メディア: Prime Video