ジェニファー・ジェイソン・リーの代表作としての『ヘイトフル・エイト』

監督/脚本:クエンティン・タランティーノ(2015 米)
 雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、同じ稼業であるジョン(カート・ラッセル)と彼が捕らえたデイジージェニファー・ジェイソン・リー)を乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブ(デミアン・ビチル)や怪しげな絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)などの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。(Yahoo!映画より)

 


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 ジェニファー・ジェイソン・リーは私のお気に入りの女優の一人で、蓮っ葉な役がよく似合っていてかっこいい。ロバート・アルトマンの『ショート・カッツ』出演以降、『ミセス・パーカー』『ジョージア』『カンザス・シティ』と主演作がいくつかあって、どの作品も面白くてファンとしてはうれしかった覚えがあるが、今となってはどれも手に入りづらい作品となってしまった。それ以降はたまたま私の見る作品に出ていなかったのか、ほとんどお目にかかる機会はなく、『ロード・トゥ・パーディション』ですぐに殺される役で久しぶりに見たのだった。
 
 そのJJリーがタランティーノ映画に出ていたとは知らずに『ヘイトフル・エイト』を見た。日本語字幕はないので英語字幕。これが最高にはまり役で、殴られたり血まみれになったり汚らしく怒鳴り散らかしたり吊るされたりと素晴らしかった。アカデミー賞にもノミネートされていたらしい。あげたらよかったのに。
 
 映画自体は南北戦争後のアメリカで吹雪の中、それぞれの理由でミニーの店に集まった8人がにらみ合い、殺しあう話。それらしいものをそれらしくやって本物以上に面白くするのがタランティーノ映画の特長であるとすれば、サスペンスというほどではないが胡散臭い連中の切った張った、独特の間で繰り広げられる俳優たちのやりとり、謎解きというほどではないがスッキリする種明かし等、タランティーノらしさは十分に発揮されてると言えるだろう。個人的には賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)の長広舌における『パルプ・フィクション』のジュールスの決めぜりふ(エゼキエル25~のあたり)っぽい言い回しが笑えた。