30年無敗の男をつかまえろ!『TAG タグ』

監督:ジェフ・トムシック(2018米)
出演:エド・ヘルムズ、ジョン・ハムジェレミー・レナー


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毎年1カ月かけて繰り広げられるルール無用の鬼ごっこの行方を、実話をもとに描いたコメディドラマ。ホーギー、ジェリー、ボブ、チリ、ケビンの5人の仲間たちは、子どもの頃から毎年1カ月かけて鬼ごっこに興じており、大人になった現在も続けていた。中でもジェリーは1度も鬼に捕まったことがなく、他の仲間たちはどうにか彼を負かしてやろうと狙っていた。ある年、ジェリーの結婚式が鬼ごっこの時期と重なることに。仲間たちはこのチャンスを生かして彼を鬼にするべく、張り切って鬼ごっこに挑むが……。(映画.comより)

 

 鬼ごっこは面白い。私の小学校では自転車を使うのが流行り、ケガ人が出て自転車の使用が禁じられるまで、ダイナミックな鬼ごっこが繰り広げられた。けが人が出た原因は、自転車を止めるためにタイヤのスポーク部分に棒を突っ込む術が開発されたことが大きい。他にも民家の間の壁の上を走ったり、道路に飛び出したり、屋根から飛び降りたり、隠れている相手をあぶりだすのに点火したドラゴン(花火)を投げ込んだり、かなり危険で迷惑である。思い返すとそんな行動を容認していた昭和という時代はすごいな。

 何が私たちをそんなに動かしていたのかは今となってはよくわからないが、この映画の鬼ごっこもかなり危険で迷惑である。実話を元にしたそうだが、おそらく基本的なアイデアにしただけで、危険で迷惑な部分は創作であろう。現実には厳しい。30年捕まらない男をホークアイジェレミー・レナーが演じており説得力があるが、追う側が毎度詰めが甘かったり大げさだったりして興ざめする部分もある。それでも大人の鬼ごっこはなかなか面白い。何が彼らを動かしているのかという部分に感じた違和感についてはネタバレの部分で納得できることになっている。いかにもとってつけたような話ではあるが、映画として丸く収めるには仕方のないところか。

 やたらと下品なジョークが多かった。確かにおっさんばかり集まればそういうこともあるかもしれないが、直接的なのは上品な私の趣味ではないんだよなあ。その辺はアメリカ的なのか監督の趣味なのかわからないが、もう少しわかりづらくした方が映画のレーティングも下がって多くの人に見てもらえると思う。