村上春樹の短編小説集。「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」の五作品。
作家が作品をどのような状態で書き、どのようなメッセージを託したか。このような疑問を抱くのは、作品なり作者なりに興味を持てばごく普通の感覚であると思うが、多くの作家にとって作品は自分から出た/出したものであって、そこに特別な意味はないのではないか。良し、と思うものではあるだろうから、褒められれば悪い気はしないだろうけども。そう考えると、うまいとか感動したより、なんか良かった、ぐらいのほめ言葉が一番うれしいのではないか。などということを考えながら読んだか読み終わってから考えたが、本の内容とはあまり関係がない。
随所に見られたのは、登場人物たちがそれぞれに抱えるものと折り合いをつける姿(「どこであれ〜」はそうでもないかもしれない)。コミットメントとデタッチメントということが自分の中で重要というのをよく書いているので、そういうことを書きたかったのではないかな。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11/28
- メディア: 文庫
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