獄門島

監督:松田定次(1949 日)
出演:片岡千恵蔵、大友柳太朗、三宅邦子
内容:旧家で殺人事件
 金田一耕助が活躍するミステリー。半世紀以上前の邦画ということであまり見慣れないものであるわけだけれども、横溝正史の原作を全く読んだことがなかったのでそれなりに楽しめた。今では小説の中でしか見ることのできない礼儀作法というか慣習や、聞くことのない言葉なんかも当然あってそういう意味でも楽しい。金田一がぼさぼさ頭でなくスーツを着ていて新しい時代の人、という感じなのも時代が現れていて良い。また殺人の理由も「白痴だから」「名家だから」という現代ではありえない、しかし単純な感情からきているものであって、変にゆがんだ現代の殺人事件よりわかりやすい分だけ良い。もっとも私が見たのは「総集編」と銘打たれているもので、自主規制で引っかかるような場面が(わりと重要な場面であるにもかかわらず)割愛されて少なくなっているバージョンだったらしい。言葉などは時代を感じる重要な要素なので、悪意があるわけじゃないんだから過去の作品をあまりいじらないでほしいものである。
 また役者は全体に早口で、特に途中から出てきた警部などは何を言ってるのかよくわからなかった。警部は演技も下手だったように思う。あれは古い映画ゆえ止むを得ないこと(よくわからないけれどもフィルムがどうこうとか)なのかあの役者が悪いのか、よくわからないなりに気になった。