告白

町田康の長編小説。
河内音頭のスタンダードナンバーで、実際に起きた大量殺人事件『河内十人斬り』を題材にした傑作。
主人公の熊太郎は、幼い頃に感じた社会とのギャップにより本音を他人に話せなくなる。現代ならば中二病と言って言えなくもない、どの時代のどんな人にもあるであろう、はしかのような鬱屈。これがたまりにたまって『河内十人斬り』へとつながる。はしかをこじらせて暴発するのである。その主人公の、考えと言葉が一致しないいらだちを、しつこいくらいに人間臭く描いている。会話が全て河内弁なのもいい。オススメ。

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)