マルコヴィッチの穴

監督:スパイク・ジョーンズ(1999 米)
出演:ジョン・キューザックキャメロン・ディアスキャサリン・キーナージョン・マルコヴィッチ
内容:7と1/2階のオフィスで見つかった穴は、ジョン・マルコヴィッチの脳につながっていた
このところ「ブロードウェイと銃弾」「ウディ・アレンの影と霧」とジョン・キューザックづいているが、この人は大穴馬券に全財産をつぎ込んで予想通り外してしまうような役をやらせたら大したものであると思う。この「マルコヴィッチの穴」でもあぶない人形師が立ち直ろうとしてドツボにはまる役を演じているわけだが、こういう役どころの彼は光っていると個人的には思う。
さて他人になりたいという誰もが持つ(らしい)変身願望を叶えてしまう穴、という奇抜なアイデアがこの作品の発端なのだろうが、ジョン・マルコヴィッチであるからこそその設定にも無理を感じない、と言ったら言い過ぎだろうか。間違いなく言い過ぎである。しかしジョン・マルコヴィッチという俳優について、知っていることといえば演劇出身であることと怪しい雰囲気の人であることぐらい、見た出演作と言えば「影と霧」と「メフィストの誘い」だけなのだが、穴を通って脳に入れる人としては適役であるように思えるのは不思議。ある種フィルターのような役割を少しは担っているように思える。
そのマルコヴィッチ本人が「穴」に入って見た景色は本人にとっては悪夢だが、他人の悪夢は笑いの種となる。他にチンパンジーのトラウマ映像やジョン・マルコヴィッチの親友が全く方向性の違う(少なくともそう見える)チャーリー・シーンというのも笑えた。本当っぽいようなそうでないような。