シャルビューク夫人の肖像

「姿を見ずに、肖像画を描いてほしい」肖像画家のピアンボに突然声をかけてきたのは、両目が白濁した盲目の男。シャルビューク夫人の使いと称し、法外な報酬を口にして肖像画の製作を依頼してきた。屏風の向こうで夫人が語る、過去の話とその声だけで姿を推測するという、その奇妙な依頼に、やがて画家は虜となっていき・・・・・・。
謎の霊薬、奇病の流行――19世紀末のニューヨークを舞台に鬼才フォードが紡ぎ出す、奇怪な物語。(amazonより)

 ジェフリー・フォードの長編小説。姿の見えないシャルビューク夫人が魅力的で面白かったが、結末がちょっと弱い。

シャルビューク夫人の肖像

シャルビューク夫人の肖像

 

 

儚い羊たちの祝宴

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。amazonより)
米澤穂信のミステリ。これ内容をすっかり忘れてしまったんですが、すごく面白かった気がする。もう一度読んでみるつもり。
儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)

 

 

まるで天使のような

山中で交通手段を無くした青年クインは、“塔”と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。そこで彼は一人の修道女に頼まれ、オゴーマンという人物を捜すことになる。だが彼は五年前、謎の死を遂げていた。平凡で善良な男に何が起きたのか。なぜ外界と隔絶した修道女が彼を捜すのか。私立探偵小説と心理ミステリをかつてない手法で繋ぎ、著者の最高傑作と称される名品が新訳で復活。(amazonより)

マーガレット・ミラーの長編小説。ハードボイルドな感じは嫌いではない。ところでこういった小説の登場人物の名前(ファミリー・ネーム)を見ていると、アメリカには普通の名前ってないんじゃないかと思えてくる。

まるで天使のような (創元推理文庫)
 

 

神様の裏の顔

神様のような清廉な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙した――と思いきや、年齢も職業も多様な参列者たちが彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者であった疑惑が持ち上がり……。(amazonより)

 藤崎翔のミステリ。ただのどんでん返しでなく、うまくまとまっていると思うが、2回目はちょっと無理があったように思えなくもない。

神様の裏の顔 (角川文庫)

神様の裏の顔 (角川文庫)

 

 

かがみの孤城

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
amazonより)

 辻村深月の長編小説。読み始めは主人公のダメっぷりにイライラしていたが、読み進めるうちにこういう女子もいるんだろうなと思えるようになり、その辺りから一気に読んでしまった。主人公の世界が広がっていく感じが良い。

物語のタネあかしについては読んでいればすぐにわかる程度のものだと思うが、伏線がきれいにまとまっていて読後感がすっきり。 
かがみの孤城

かがみの孤城