11の物語

かたつむりへの偏愛が端々に見られる短編集。著者であるパトリシア・ハイスミスはその著作『見知らぬ乗客』がヒッチコックによって映画化されてもいる作家らしい。ちなみにwikipediaによれば趣味はかたつむりの観察。
面白かったのは、自分がいかに感謝しているかを雇い主に間違った方法で伝えようとするベビーシッターを描いた「ヒロイン」、夫をどうにかして精神科医にかからせようとする主婦とその精神科医を描いた「アフトン夫人の優雅な生活」。どちらも素敵な結末で締められていた。
逆にかたつむりの話などで見られるような、細かい描写による主人公の不安、焦燥、緊張みたいなのは、まあわかるんだけども胸に迫るというほどではなく、外国人はこういうのが好きでパニック映画とか好きなんだろうなと冷めた感じで読んだ。

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)