70年代黒人映画をパワーアップさせて作り直した『ジャッキー・ブラウン』

監督/脚本:クエンティン・タランティーノ(1997 米)
出演:パム・グリアー、サミュエル・L・ジャクソンロバート・デ・ニーロマイケル・キートンブリジット・フォンダ

 黒人スチュワーデスのジャッキー・ブラウンは、密売人の売上金をメキシコからアメリカに運ぶ副業を持っていた。だが、ひょんなことから逮捕され、捜査官レイに密売人オデールの逮捕に協力するよう強要される。オデールが証拠隠滅のために自分を消そうとしていることを知ったジャッキーは、関係者をあざむき、お互いに潰し合わせようとする。(Yahoo!映画より)


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 久しぶりに再見。公開時は確か『パルプ・フィクション』以来の作品だったので楽しみにしていた割にあんまり面白く感じなかったんだけども、20年以上たつと感じ方も変わるのか今回は楽しく見れた。タランティーノ監督のヒーロー(ヒロイン)よもう一度な作品で、さすがに主演のパム・グリアーがかっこいい。他に出所したばかりのいかれたおっさんをデ・ニーロが、かわいいバカ女をブリジット・フォンダが演じていてどちらもカッコいい。しかし何にでも出てる役者としておなじみのサミュエル・L・ジャクソンの活躍が際立っていて、彼の演じる密売人の怖さがなくては成り立たない。ちなみにwikipediaで数えたら出演作は2023年までに140本くらい、私はそのうち28本を見ていた。

 今回これを書くにあたってちょいと調べたところ、本作はタランティーノ監督によるブラックスプロイテーション映画へのオマージュとあった。まずエクスプロイテーション映画というのは、

1950年代以降に量産されたアメリカ映画のジャンルで、興行成績をあげるため、センセーショナルな時事問題やタブーとされる題材をあえて取り上げている低俗な作品群を指す(wikipediaより)

のだそうで、まあヘイズ・コードの反動で生まれたようなジャンルなので低俗なのは当たり前と言っては身も蓋もないがそういうものである。ブラックスプロイテーションというのは1970年代に入ってそこからさらに黒人を対象にした、黒人のための黒人による映画ジャンルだそうなので、これまた何をかいわんや、いかにもタランティーノが好きそうなジャンルではあり、そういう意味ではつまるところタランティーノ監督の映画が面白いのは本人が好きなものをマニアックな精度で作り直してあるからであることが良くわかる話である。