ブチ切れるジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』

監督/脚本:デヴィッド・O・ラッセル(2012 米)
出演:ブラッドリー・クーパージェニファー・ローレンスロバート・デ・ニーロジャッキー・ウィーヴァー

 妻が浮気したことで心のバランスを保てなくなり、仕事も家庭も全て失ってしまったパット(ブラッドリー・クーパー)は、近くに住んでいるティファニージェニファー・ローレンス)と出会う。その型破りな行動と発言に戸惑うパットだったが、彼女も事故によって夫を亡くしており、その傷を癒やせないでいた。人生の希望を取り戻すためダンスコンテストに出ることを決めたティファニーは、半ば強制的にパットをパートナーに指名する。(Yahoo!映画より)


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 よくわからないタイトルながら、ジェニファー・ローレンスを見よう!運動の一環として鑑賞。原題は「Silver Linings Playbook」。Silver Liningsは銀の裏地、ただし「every cloud has a silver lining(どの雲にも銀の裏地がある=どんな状況でも光が差し込むことがある)」ということわざを踏まえて「希望(の兆し)」くらいの意味で使われるらしい。一方Playbookは劇中にも出てくるアメフトにおける戦術書、作戦帳といった意味のものらしいので、まとめると「希望の作戦ノート」くらいの意味。世界に一つという要素は感じられない。どうせわけわからないなら『空に太陽があるかぎり』とかでも良いんじゃないかと思う。

 登場人物の多くが精神的に病んでいて、それを演技に定評のある俳優たちが演じており、アメリカではこういうのもそんなに珍しくなくなってるのかもしれないけど見ていてすごく疲れる。もっともジェニファー・ローレンスはこの作品の演技で各賞を総なめにしているのでそれだけ演技が素晴らしかったという事だろう。主人公たちはうまいこと良くなったようにまとめられていたが、浮気妻にいつまでも未練がましかった主人公は良いとしても、アメフトの試合に身代かけてしまう父親がいては家庭崩壊がいつ起こってもおかしくないと思われる。

 浮気妻と言えば、主人公は妻に浮気されて浮気相手に暴行して精神病院に入れられたのだが、浮気した妻がいつまでもキラキラした扱いなのが腑に落ちない。少なくとも主人公だけが悪いように描かれていたと思う。浮気よりも暴行が良くないという事なんだろうけども、そんな相手に未練がましい主人公という時点であまり興味を持てないというのが正直なところ。つまらなくはないんだけど。