ジャッキー・チェンのアメリカ進出第二弾『プロテクター』

監督:ジェームズ・グリッケンハウス(1985 米)

 強盗団との戦いで相棒を失ったばかりのニューヨーク市警の刑事ビリー(ジャッキー・チェン)は、あるファッションショーの警備を担当するが、ショー主宰者の娘ローラ(ソーン・エリス)が何者かに誘拐され、香港へ連れ去られてしまった。ビリーは新しい相棒ガローニダニー・アイエロ)と共に香港へ派遣されるが、香港の署長は二人に冷淡で協力が得られない。勝手に捜査を進めるビリーたちは、ローラをさらったのが香港マフィアのボス、コウであることを突き止める。やがてビリーはローラを救出するも、入れ替わりにガローニが敵の手に落ちてしまった。(Wikipediaより)

 ジャッキー・チェンの映画はほとんど見たと思っていたが、見たことも聞いたこともない作品をU-NEXTで発見。ワーナー・ブラザースとゴールデン・ハーベスト社の合作というのも面白い。監督とジャッキーが揉めた結果、オリジナル版とジャッキー版がある作品で、ジャッキー版はアクションの演出の他に、「自分の作品にふさわしくない」として汚いセリフのシーンや無駄にでてくる全裸の女性工員などをことごとくカットしたとあるので、私が見たのはたぶん前者。ただし汚いセリフや全裸の女性よりも、オープニングの「汚物は消毒だ」的にトラクターを襲うパンクスたちの方が、しかもこれがブロンクスの描写という方が衝撃であった。あとから思い返してみてもあのオープニングだけ浮いていると思う。少し前にテレ東で『エスケープ・フロム・LA』をちら見したので、その記憶と混ざってるんじゃないかと思ったぐらいである。確かに70~80年代に、ニューヨーク=怖いところというイメージはあったような気もするが、いかにもやりすぎでありテイストもちょっと違う。

 ジャッキー・チェン以外ではダニー・アイエロも出ていた。ニューヨークと言えばデ・ニーロかダニー・アイエロである。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の悪徳署長や『カイロの紫のバラ』のヒモといった役どころが印象的だが『プロテクター』ではジャッキー・チェンの旧・相棒が殉職したことにより唐突に表れる新しい相棒という役である。ガラの悪さはハマっていたがどこまで行っても凄味がない中途半端なところが80年代っぽくて良かった。