お給料

従業員の給料および明細の作成は私の仕事。こちらの給料は2週間に1度のby-weeklyという日本ではあまりお目にかかれない形式で、2週間おきにタイムカードをチェックして給料をはじき出さなくてはならない。
基本的には労働時間をエクセルに入力すれば自動的に出てくるのだが、面倒なのがallotmentという、日本でいう天引き分。種類はいろいろあるけれども要はすべからく借金の返済で、多いのになると一人で4件ぐらい払っていたりする。さらにわが社の掛売り分への返済も加わり、従業員たちのただでさえ少ない給料はまさにスズメの涙となる。ちなみに借金ゼロで手取りは常に120ドル超、という計画的な従業員もいる(一人だけ)が、平均すると税金2割、返済6割、手取りが2割。もちろん労働時間が少なくて返済が間に合わないこともある。というよりその方が多い。それでも心を鬼にして支払いを優先させれば楽なのだが、従業員が生活できなくなるのもそれはそれで困る。
まさにこちらを立てればあちらが立たずという状況だが、当の従業員たちはあまり気にしていないので立つのはこちらの腹ばかりである。それでも大抵の連中はお金が本当に必要な時は無心をしてくるか返済のストップをお願いしてくるのでこちらとしてもやりやすい。ただ一人、気が小さいのか恥ずかしがりやなのか知らないが、こちらの提案にはなんでもOKというのがいる。そのくせに陰で愚痴をこぼしていて、これはいただけない。恥ずかしいのはおまえの借金まみれの生活だと諭したところで無駄なのはわかっているので、たまには他の従業員を通して説明したりもするが、どちらにしろOKとしかいわない。そのくせ陰では文句を言っている。糠に釘、暖簾に腕押しとは正にこのことである。そんなやつもいる。
ただ基本的にはみな借金まみれでもエヘヘと笑いながら5ドル貸してくれといってくるような陽気な連中が多いので、そんなに大変な仕事でもない。できれば全ての借金を早く返済して手取りが増えるようにしてあげたいところだが、こればかりは本人に負うところが多いのでなんともいえない。