ハンナとその姉妹

監督・出演:ウディ・アレン(1983 米)
出演:マイケル・ケインミア・ファローダイアン・ウィースト
内容:女三人姉妹
アメリカという国をどうにもあまり好きになれないしそうなるつもりもないのだが、それはキリスト教的な理想主義というかないものねだりというか(それも振り切れていればそれはそれで嫌いではないのだが、それはまた別の話)、そういったようなものが強すぎることで、人間のどろどろした面にあえて目をつぶっているのか、もしくは見えない振りをしすぎたせいでその存在を忘れてしまったのかのように思えることが原因の一つにある。まあ映画を見た限りでの話だけれども。で、逆に言えばそういった部分をしっかりととらえている一部の作品はアメリカ映画といえども嫌う理由はない。もっともそういう傾向をまとめるとヨーロッパ的な感じがしてこないでもない。
ウディ・アレンという監督はけっして若くはない男女の機微を描かせると大変上手な人で、中でもこの「ハンナとその姉妹」は傑作として名高い。何をやらせてもうまくいく長女、何をやっても失敗ばかりの次女、なんともいえない三女という三姉妹とその亭主の愛憎劇で、うまくいえないけれども愛したり憎んだり悩んだり喜んだりする姿がすごく人間らしくて良い。さすがいろいろと悩んでいるだけはある。