博士の異常な愛情

監督:スタンリー・キューブリック (1964 イギリス=アメリカ)
出演:ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット
内容:米ソ冷戦と核の恐怖を描いたブラックコメディ


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 久しぶりに再見。現実的に考えるあまり戦争が非日常でなくなっている軍人とあくまでも理想を追う政治家とか、危機的状況を伝えるための両国首脳同士の電話なのにその口調がやたらとフレンドリーとか、「平和こそ我らの仕事」の看板の前での銃撃戦とか、核戦争を引き起こすまでに至った狂気の原因がセックスとか、とにかくミスマッチだらけでそこから生まれる虚しさに引きつった笑いが止まらない。
 約40年前の映画なのにその笑いが未だに通じるのは、キューブリックがすごいのか人間が愚かなのかわからないが、総統への敬礼が体(義手!)に染み付いてしまったストレンジラブ博士の行動で、ナチもアメリカもやってることは大差無いということを妙に納得させられてしまう。このあたりがただの悪ノリ映画ではないところ。エンディングで使われるヴェラ・リンの「また会いましょう」がまたミスマッチで最高。キューブリック音楽の使い方に思わず唸ってしまう。