監督:ジョン・カサヴェテス(1980 米)
出演:ジーナ・ローランズ他
マフィアの重大な秘密を売ろうとして惨殺された一家から男の子フィルを助けた中年女グロリア。しかし問題の秘密はフィルが持ち出していたことを知ったマフィアは少年をかくまったグロリアをも狙い始める。子供嫌いなグロリアは生意気なフィルを見捨てようとするが、次第に母性本能が芽生え必死になってニューヨークを逃げまわるが……。(Yahoo!映画より)
70年代と言えばおっさんである身には「ちょっと昔」のイメージだが、実際には50年前、私(78年生まれ)が生まれる前の時代である。どちらかというと懐古趣味の私は古い時代に良いイメージを抱きがちだが、映像で見るとなかなかに古く見え、どこもかしこもゴミだらけで汚れている。でも確かによく考えてみれば日本でも駅のホームは汚かったし、道路の側溝には吸い殻がたくさん落ちていた。普段は気づかないし実感は少ないけども、現代はどこを見てもきれいだし、良くなっていることの方が多いのである。
『グロリア』はそういった70年代のニューヨークを舞台に、ジーナ・ローランズがかっこよく銃をぶっ放す映画である。ジーナ・ローランズと言えば『ナイト・オン・ザ・プラネット』のロサンゼルス編でウィノナ・ライダーを女優にしようとする、かっこいいおばさんエージェント役しか知らないが、あれの10年前、中年の輝きというか、年齢を重ねた迫力でマフィアに銃を突きつける姿がかっこいい。マフィアから子供を連れて逃走、それ以上でも以下でもない話だが、疲れ切った顔で煙草に火をつける姿もクールである。
ちなみに『レオン』あたりはこの映画から受けた影響が大きいらしい。しかし大人の男と少女の組み合わせはどうしても外聞が良くならず、下衆の勘繰りがついて回るものなので、その点でも母性の発露ということにできる大人の女性と少年の組み合わせは良かった。「一緒に寝た相手の中では一番ね」というグロリアのジョークもドライで良い。おすすめ。