「怪しい精神病患者の収容施設に乗り込む捜査官」のステレオタイプを生み出した『シャッターアイランド』

監督:マーティン・スコセッシ(2010 米)
出演:レオナルド・ディカプリオマーク・ラファロベン・キングスレーマックス・フォン・シドー

 精神を病んだ犯罪者の収容施設がある孤島、シャッター アイランド。厳重に管理された施設から、一人の女性患者が謎のメッセージを残して姿を消す。孤島で起きた不可解な失踪(しっそう)事件の担当になった連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)は、この孤島の怪しさに気付き始める……。(Yahoo!映画より)


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 マーティン・スコセッシアメリカ映画の真正面というイメージで、その作品を見ても、題材はどちらかというと日陰者が多いのだが、ストーリーとその結末はど真ん中の王道をいってるように感じる。それは例えば『タクシードライバー』であれば、ベトナム帰りの青年を描くならあのトラヴィスで正解だったように感じるし、『キング・オブ・コメディ』でも『ケープフィアー』でも、他にもやりようはあったかもしれないが、描くとしたらまさにこれしかないという、今までにない主人公/ストーリーなのに典型的なものを生み出しているというおかしさをわりと多く感じる。

 今回の『シャッターアイランド』でも、かなりストーリーの展開として捻りがあったにもかかわらず、見終わってみると「怪しい精神病患者の収容施設に乗り込む捜査官のストーリーとその結末」としては、女性患者はああいう形で関わってくるのが当然だし、ベン・キングスレーが演じた医師はああなるしかなかったという納得感が強く残る。納得できるということは気づかないうちにうまく説明されているのかな。おすすめ。