ターミナル

監督:スティーブン・スピルバーグ (2004 アメリカ)
出演:トム・ハンクスキャサリン・ゼタ・ジョーンズ
内容:空港に閉じ込められた人の話
見る前から「パリ空港の人々」を連想していたが、事情が事情なだけにより切ないことを除けば空港の中で暖かい人情を感じる点でやはり似ている。主人公の空港での生活は楽しいが、父親との約束を果たす云々のくだりではなぜかあまり感動できない。
個個の人々が責任を果たすことを最優先するアメリカという社会において考えれば主人公が空港から出られなくなってしまった状況は誰が悪いというのでもないが、人として考えればそのようなシステムを作り出してしまったことが悪い。というよりシステム社会においても人情は必要だ、というスピルバーグらしい人情論。これが受けるのはシステム社会のアメリカならではという気もする。現に日本人の私が見ても今一ピンと来ないというか、やさしくしてやって当然だろ!と思ってしまうのは日本の方がシステム一辺倒になっていないということなのかもしれない。
いかにもアメリカンなアメリカ人が職務に忠実=出世主義=冷徹で、移民系の人ばかり心暖まるキャラなのはスピルバーグユダヤ系だからかもしれないが、まあどっちも混在するのがアメリカ。
そもそもの不幸の始まりである「英語を話せない」ということで人をバカ扱いするのはいかにもアメリカらしい。これを移民系のスピルバーグが狙ってやったのか、それとも知らないうちにスピルバーグアメリカ的な考え方で染まってしまったのかは知らないが、非英語圏の人間から見ると不快ですらある。