間抜けの実在に関する文献

百輭先生の交友関係随筆集。自分の在学時の先生からはじまって、同僚教授との話や生徒達との思い出、教師としての持論、学校関係の話等が細かく描かれている。『実説艸平記』には漱石門下の先輩である森田草平との交友が記されている。
百輭先生は享年82(昭和46年没)と長生きされたので、書かれた当時で既に故人となっている人がほとんど。なので読んでいて哀しく懐かしい。本人も自分の長男や生徒たちが自分より先に死んでいくことに「順を違えるのは良くない」(うろ覚え)とご立腹。彼らの生前のいろいろのことは事細かに書いているのにもかかわらず、死んだ時の話が非常にあっさりしているのは百輭先生の早逝していった者たちへの恨みが残っているようで哀しい。