寺田寅彦の随筆集。娘のために買ったものの、自分が先に読んでしまった。
寺田寅彦といえば『吾輩は猫である』の寒月君のモデルとして有名。漱石関係の話にはよく出てくる人。本書にも漱石との関係についての文章がある。門下から見た漱石を垣間見られて楽しい。また「津波と人間」は昭和8年の津波の後に書かれた文章だが、東日本の震災後の現代にも通じる話である。ちなみに青空文庫*1でも読める。その他日常生活から科学の芽を見つける科学者のまなざしを感じられる話が多かった。科学の基礎知識がしっかりしているから、目にするものから突拍子もないことを考えても考察がちゃんとしているし、次の発想につながっているという印象を受けた。こういう考え方ができる教育が望まれる。
とのことで、幕末とのつながりがまた面白い。