悪童日記

アゴタ・クリストフの長編小説。
戦火を避けて祖母の家に疎開してきた双子の兄弟が書いた日記、という体で、生生しい戦時下の人々の姿を覗くことが出来る。悪童日記というタイトルは邦題なのでこんなこというのも意味がないかもしれないが、「悪童」である双子の兄弟は、日記の書き方について説明があるように、二人で生きていく上でも自分たちで独特のルールを作る。彼らは非常識ではあるが、少なくともお天道様に顔向けができなくなるようなことはしていない。司祭を恐喝するとか女中へのアレとか、彼らの行動は正しいとは言えないかもしれないが、正しくないと言って非難することはできない。ギリギリなのである。もっともそれは双子の兄弟だけではなく、他の登場人物たちも同じ。吝嗇な祖母、みつくちの女の子、セクハラ司祭、毒毒しい女中、ホモでショタの外国人将校。兄弟に関わる登場人物はみな一癖も二癖もあるが、非常時をギリギリで生きている。続きが読みたい。オススメ。

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)