アンドロイドは電気羊の夢をみるか?

フィリップ・K・ディックのSF長編。
核戦争後、汚染されていた地球で賞金稼ぎが火星から逃亡してきた8体の人造人間を始末する話。
精巧に作られた人造人間と接するうちに人間との区別がつかなくなっていく主人公の、人間とは何か?という問が肝であり、甲殻機動隊とかマトリックスとかにつながるわけだが、その辺は私には割りとどうでも良くて、むしろ私がSFを楽しめるかどうかは作品の舞台背景や小道具が目障りかどうかが重要で、これらの解説が上手になされていなければ面白い話もぶち壊しである。多くのSFはこの辺がうまくいかずに読者をしらけさせがちである、というのが私の持つSFに対するイメージでもある。
その点この小説では1から10まで丁寧に説明がなされていてすこし煩く感じるぐらいだったが、作品のテーマのために重要な役割を果たすものもあったのでそこは大目に見てあげよう。またこの作品が1968年に書かれたということも勘案してあげるべきである。1968年といえば「男はつらいよ」がまだテレビドラマだった時代である。
ちなみにこの作品は映画「ブレードランナー」の原作でもある。映画の方は見た覚えはあるのだけども、感想が残っていないことからわかるようにほとんど覚えていない。辛うじて覚えているのはハリソン・フォードがうどんのようなものを食べていたことだけ。