台所のおと

幸田文の短編集。
久しぶりの古本屋で、さて何を買うかと探していたところに目に飛び込んだ幸田文の短編集。そういえば出久根さんが絶賛していた。
著者の文章には、解説にもあるように、「こういう言葉、こういう身ごなし、こういう暮らしが存在していたのだという感動」がある。それだけ日本の言葉や生活様式が変わっているということである。
こういうものを読むにつけ、こういう日本が残っていたらと思ってしまうのはどういうわけだろう。発表当時から同じような受け止め方が多かったらしいので、こういったこころもちは私だけではないらしい。古いものならなんでも良いと思っているわけではないのだが、日本人の多くがこういうものに郷愁を感じるというのが、なんとなく良い。

台所のおと (講談社文庫)

台所のおと (講談社文庫)