10ミニッツオルダー 人生のメビウス

監督:アキ・カウリスマキビクトル・エリセヴェルナー・ヘルツォークジム・ジャームッシュヴィム・ヴェンダーススパイク・リーチェン・カイコー (2002 イギリス/ドイツ/スペイン/オランダ/フィンランド/中国)
内容:各々10分で「時間」をテーマにしたオムニバス。
アキ・カウリスマキの『結婚は10分で決める』では10分で人生を変えていく中年紳士の話。短いながらもバンド演奏が入っていたり、淡々としていたり、カウリスマキらしさがよくでてる。
ビクトル・エリセの『ライフライン』はどこか手放しでは見ていられない穏やかな日常を10分間切り取っていて、物語は一応ハッピーエンドだが後からやってくる暗い時代がチラついていている。
ヴェルナー・ヘルツォークの『失われた1万年』は文明社会との10分間の接触で一気に近代化し、またそのために滅びつつある民族のドキュメンタリー。現代化した民族の元気のない表情がなんともいえない。
ジム・ジャームッシュの『女優のブレイクタイム』はタイトル通り女優の10分間の休憩の話。何も起こらず、只只いい雰囲気に満ちている。ラストもジャームッシュらしさ全開。
ヴィム・ヴェンダースの『トローナからの12マイル』ではオーバードースに陥った男が10分後にやってくる死に抗う姿が、ヴェンダースらしくドロドロに、ロードムービー風に、そしてロックを上手く使って描かれている。
スパイク・リーの『ゴアvsブッシュ』ではゴアにとって不幸が重なったといわれている大統領選挙をゴア陣営から分析したドキュメンタリー。 10分で世界が変わるはずだったということだが、やはり社会派のスパイク・リーらしい。
チェン・カイコーの『夢幻百花』は時代の変遷についていけない男の話。郷愁とかそういった話なのだが、これだけ10分という鍵が見つからずに戸惑う。
全ての話でもっとも捉えどころのない「時間」をテーマに、10分という短い枠の中で作品を作っているのだが、その中でもそれぞれの監督のらしさが出ているのはさすが。