善き人のためのソナタ

監督/脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(2006 独)
出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデックセバスチャン・コッホほか
あらすじ:1984年東ベルリンの秘密警察の局員ヴィースラーが、反体制の疑いのある劇作家ドライマンの家に盗聴を仕掛け、徹底した監視を開始する。しかし、聴こえてくる彼らの世界にヴィースラーは次第に共鳴していき、ドライマンが弾いたピアノソナタを耳にした時、局員の心は激しく揺さぶられる。
真面目で静かであまり好みではないけども、良い映画。約50年に渡る東ドイツの統制された社会の中で、歯車として生きていた主人公ヴィースラーが、危険を冒しながらも人間の心を取り戻していく過程が説得力十分に描かれる。描かれ方に無駄がないことが、好みでないのに良い映画と感じた一因かもしれない。また主演のウルリッヒ・ミューエ自身がドライマンと似たような体験をしていることも関係ないことではないだろう。
物語の最後に、ヴィースラーが「HGW XX7(自分を示す暗号)」に捧げられた本を購入した際のセリフ「私のための本だ」にうならない人はいないだろう。