監督:テリー・ギリアム(2005 米)
出演:マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ、ジョナサン・プライス等
内容:詐欺師グリム兄弟の冒険
中世から近代に移り変わる頃のヨーロッパには科学と魔法が共存していた、ということを下敷きに、グリム兄弟を主人公にして描いたファンタジー。お金という現実に生きる利己的な兄と民間伝承を追う夢に生きるファンタジーな弟の対照に時代を反映させているが、どちらもそのおおもとには物語の枕となる「豆」の話が絡んでおり目的は家族を守ることにある、てことなんだろう。魔法という眉唾の話でも主題がきっちりとしているのは監督がギリアムなだけにその是非を一概には言えないが、なんというか不真面目な部分は出しておきたかったのかなというのは台詞の端々で伺える。
登場人物はジョナサン・プライスがなんともいえない将軍を演じていたりして、あまりフランス貴族への尊敬の念は感じられない(ほめてます)。拷問大好きカヴァルディはいい味を出していたように思う。
そんな中で唯一真剣さを感じたのはパイソンズの頃から夢を見ているような映像ばかりを作っていたテリー・ギリアムならではの幻想的な映像で、細かい点までグロテスクにされていてよかった。ただテーマがテーマなのでもっとドロドロでもいいかもしれない。とにかくギリアムにCGは鬼に金棒。