未来世紀ブラジル

監督:テリー・ギリアム(1985 英)
出演:ジョナサン・プライスイアン・ホルムマイケル・ペリンロバート・デ・ニーロ
内容:ある官僚の悲劇
久しぶりに再見。
テリー・ギリアムというと常にトラブルと隣合せの監督というイメージがつきまとうが、この作品ではエンディングその他にあまりにも救いがない=一般受けしないということで会社と揉めたらしい。具体的には30分以上縮めてハッピーエンドにしてしまったらしいが、それではこの作品の場合は作品の意味すらなくなると思う。売れなきゃ困るし売れるようにするだけでも困る。商売て難しい。
さてその一般受けしないというレッテルを貼られたストーリーは、全ての情報が管理されたディストピアで一匹のハエが原因で起きた事件に巻き込まれた主人公が暴走してしまう話で、テロリストが横行する近未来社会は荒唐無稽なようでよく考えてみればそれほど現実離れしていないというのが恐ろしい。管理社会はもとよりそれに対抗する主人公まで皮肉りヒーロー至上主義をも否定するところがテリー・ギリアムらしい。
らしいといえば物語上重要である夢の場面もそうで、もう少しどうにかならんのか、でも無駄にお金使ってそうだな、と思わせる適当さも含めて「らしさ」が感じられ、そのくせメッサーシュミットとか音楽とかステキで、その辺がすごくいい。