深緑野分の短編集。表題作「オーブランの少女」が良かった。美しい庭園の管理人が殺された事件の過去には何があったのか、という話。女の子を主人公にすることで必要な情報を隠し、読者を惑わせるのが上手。主人公たちの呼び方とかで肝心なネタばらしの部分についてはなんとなく想像はつくものの、面白く読めた。他に4編を収録しているが、こっちはもう少し軽い感じ。
「大雨とトマト」現代日本、土砂降りの定食屋における店の亭主と常連客と居合わせた女の子の話。
「片思い」戦前日本の女学校の女の子たちの話。
「仮面」ヴィクトリア朝?ロンドンを舞台にした殺人事件の真相。
いろんな時代と場所が舞台で楽しいが、著者には「オーブラン~」の線で進んでいってほしい。