重いテーマを軽く描くことの功罪を考えさせられる『ジョジョ・ラビット』

監督・脚本:タイカ・ワイティティ(2019 米)
出演:ローマン・グリフィン・デイヴィス、トーマシン・マッケンジータイカ・ワイティティレベル・ウィルソン、スティーブン・マーチャント、アルフィー・アレンサム・ロックウェルスカーレット・ヨハンソン

第2次世界大戦下のドイツ。10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイヴィス)は、青少年集団ヒトラーユーゲントに入団し、架空の友人であるアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)に助けられながら一人前の兵士を目指していた。だがジョジョは訓練中にウサギを殺すことができず、教官に“ジョジョ・ラビット”というあだ名を付けられる。(Yahoo!映画より)


『ジョジョ・ラビット』予告編

 ナチス・ドイツを笑うことで批判するのは古くはチャップリンの『独裁者』等が有名だが、『ジョジョ・ラビット』も同じ系譜にある映画。ただしよりポップで軽い感じではある。重いテーマを軽く見せることの功罪はいろいろあるが、より多くの人に見てもらえるという点では功が大きい。罪の部分はテーマそのものも軽く見せることになってしまうことがあるけども、そこは監督がユダヤ系ということで免罪符になっているのかなと思わないでもない。映画の主人公は10歳、市街戦~終戦あたりが1945年の話なので現在生きていれば85歳。冒頭のヒットラーユーゲントのキャンプが仮に本当にあったこととすれば参加者の中にはまだ存命の人もいるだろう状況で、人によっては不謹慎と捉えるかもしれない描写をするのはどうなんだろう。私個人はキツい笑いも好きなので不謹慎でもなんでも構わないのだけども、関係者には戦争に関した話は洒落にならないことが多いので、少し気になるところ。よく100年たたないと歴史にならないというのはこういうことなんだと思う。当事者でないとわからないが、免罪符があるからいいのかな。

 さて功の部分であるポップさ軽さは衣装や背景が明るい他、監督自ら演じた主人公のイマジナリー・フレンドであるヒトラーのノリが大きい。先述の通り賛否が分かれるところだが、ポリコレが声高に叫ばれる昨今において、この映画の見せる諷刺が攻めの姿勢であることは間違いない。登場人物という点ではキャプテン・Kが最高にかっこよかった。大人はああでないといけない。詳しく描かれてはいなかったが、ゲシュタポのくだりなんかを見るに、主人公を気にしていたのだろう。あと主人公の第2の親友ヨーキーも、見た目とは裏腹に冷静に観察していて良かった。

 上記の通りこの映画には良い点がたくさんあったが、同時に良くない点もいくつかある。例えば母ローズは夫不在の状況で活動ばかりして家を空けすぎであるとか、戦勝国が敗戦国を描くのってどうなのとか。連合国が凱旋しているのを見て、しょせんアメリカ万歳か、と思ったのは私だけではあるまい。

 しかし一番の謎は姉インゲの死の理由である。映画を見る限り特に言明されてはおらず、さらにその死については「誰も知らない」。なぜ誰も知らないのか。検索しても出てこないので気になる。英語で検索すると「インフルエンザ」という答えがあったが、特にその証拠もないので気になる。なんでインフルエンザなのかも気になる。「誰も知らない」その理由を教えてくれー。