ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

監督:デヴィッド・イェーツ(2016 英=米)
出演:エディ・レッドメインキャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、エズラ・ミラーサマンサ・モートンジョン・ヴォイトカルメン・イジョゴ、ロン・パールマンコリン・ファレルジョニー・デップ

魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、魔法動物の調査と保護のためニューヨークを訪問する。ある日、彼の魔法のトランクが人間のものと取り違えられ、魔法動物たちが人間の世界に逃亡してしまう。街中がパニックに陥る中、ニュートはティナ(キャサリン・ウォーターストン)らと共に追跡を開始するが……。(Yahoo!映画より)

 


映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』90秒予告【HD】2016年11月23日公開

 

 ハリー・ポッターの新シリーズ、と言っていいのかどうか知らないが、あの世界とつながっている話。20世紀初頭のニューヨークを舞台に魔法動物学者が右往左往する。巻き込まれるのは一般人ジェイコブとアメリカの魔法使い姉妹。観客は一般人ジェイコブと一緒に魔法や魔法動物を体験する形になるが、それがちょっと、魔法世界のあれこれよりも話の筋が気になる派としては長く感じた。ファンタジー作品は細部が肝心であり、ハリーポッターシリーズが優れている点でもあるが、人が関わるモノ(道具とか)以外はわりとどうでも良くて、その最たるものが魔法動物なのである。見る人すべてが私と同じとは限らないので、魔法動物が気に入ったという向きもあるだろうが、私にはあまり。
 それからメインキャストである主人公の動物学者、それを捕まえようとして話に巻き込まれていく闇払い崩れ、いずれも華がない。主人公に至っては思わせぶりな行動ばかりで、何がしたいのかもよくわからない。正確にはその目的は少しずつ明らかになるが、全ては周りに流された結果と思えなくもない。『謎のプリンス』『死の秘宝』でも似たような傾向が見られたので、もしかしたらそういうのが監督の好みなのかもしれない。
 気になった点を先に挙げたが、全体的には魔法世界の雰囲気をぶち壊すことなく、同じ世界のつながりも示しつつも新しい話を展開しており、シリーズ続編としての最低ラインはクリアしているように思う。もっとも原作者が脚本を書いたとのことなのでその辺のチェックは厳しいのだろう。また物語は最後に敵の正体が明かされ、お前かー!という驚きと、今まで散々持ち上げてきたダンブルドアに匹敵する悪役ということを考えたら確かにこの人くらいしかいないよね、という謎の満足感を得られ、そのまま次作への期待となった。こういうところはうまい。