昔話と日本人の心

西洋の昔話が女性を結婚して幸せに暮らしました、というハッピーエンドが多いのは、意識的に困難を乗り越え勝利と共に伴侶(もしくは他の物)を得て確立する父権的自我である、というノイマン*1の説を踏まえ、文化的な違いを考えてこれに対する「女性的な目」で日本文化を考えよう、という河合隼雄の本。日本の昔話に登場する様々なタイプの女性を取り上げて日本の昔話を解説している。
西洋の場合、人と自然との一体感を断ち切った後で、人は前とは異質なものとなった自然の一部を自然に統合することによって全体性の回復をはかるのに対して、日本の場合は、人と自然との一体感を一度断ち切りながらも、前とは異質となった自然に変えることによって全体性を回復する。
(中略)
西洋にしろ日本にしろ、自我を成立せしめる背後に必ず存在する「知る」ことの痛みは、西洋の場合は原罪の意識として記憶され、日本の場合は、あわれの感情として保存されることになり、両者の文化をつくりあげてゆく基調をなすものとなったと思われる。

 河合隼雄は対談とかではやさしそうなのだが本はなかなか難しい。丁寧すぎて読みづらいところもある。後半は三位一体の話とか出てきて、寝る前に読むには難しかった。ただくそ真面目を装いつつ

ここで、テーマを変えて、性器の露出について考えてみることにしよう。

 とか言い出すので、気が抜けない。

昔話と日本人の心

昔話と日本人の心

 

 

*1:エーリッヒ・ノイマン(Erich Neumann, 1905年1月23日 - 1960年11月5日)はユダヤ系ドイツ人でユング派の心理学者、精神分析家。/Wikipediaより