監督:フランク・オズ(1988 米)
出演:スティーブ・マーティン、マイケル・ケイン他
内容:ペテン師と詐欺師の詐欺合戦。
80年代のアメリカ映画に、間違っても大ヒットはしないけどもしっかりと笑わせてくれる作品が多かったのは、1975年から始まったサタデーナイトライブ(SNL)の功績が大きい。番組で有名になったジョン・べルーシ、ダン・エイクロイド、チェビー・チェイス、ビル・マーレイとかそのあたりのコメディアンが看板となって映画が作られており、SNLのノリで作られているので何となく雰囲気に通じるものがあり、SNL好きにはたまらない。ちなみにみんな大好き「ブルース・ブラザ−ス」もSNLのコントを膨らませたスピンオフ作品である。
スティーブ・マーティンはSNLのオリジナル・メンバーではないが、当時からゲストとして多く登場している(通算15回)ので「そのあたりのコメディアン」に含まれる。と思う。ただオリジナル・メンバーでないせいか、SNLノリとは少しだけ趣が異なっており、その分だけ映画にも向いていたのか、映画の出演作品は多い。
本作「ペテン師とサギ師」も、そのスティーブ・マーティンの代表作の一つで、得意の顔芸、うさん臭いほど明るいアメリカ人(という演技)などを楽しむことができる。ちなみに障碍者ネタも得意で作品内で見ることができるが、今同じことをやったらいろんなところから抗議殺到間違いなしである。
この作品のもう一人の主演がマイケル・ケイン。マイケル・ケインは1988年当時ですでに英国を代表する俳優であり、こんな映画に出るような人ではないが、だからこそ何をやっても面白い。キャスティングの勝利といえる。
アメリカ人とイギリス人を体現する二人を詐欺合戦という形で競わせた監督は、スター・ウォーズのヨーダの声でおなじみのフランク・オズ。「ブルース・ブラザース」のオープニングでジェイクに刑務所で預かっていた携帯品を返す人と言えば、誰もがその変な顔を思い出すことでしょう。
総じて映画史に残るような作品ではないが、万人にオススメしたい作品。
ちなみにもう一つ指摘しておきたいのが、日本語タイトルのすばらしさである。原題は「Dirty Rotten Scoundrels」で、直訳すると「汚い腐った悪党たち」。形容詞二つで二人の悪党を連想させようとしているのかなとも思うが、とにかくこれを「ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ」と訳してしまうのは大したものだ。最近はなにかとおしゃれな方向に持っていこうとするのが多く、こういうセンスのある邦題を見なくなって久しい。映画会社はこういうところにももっと力を入れるべきであると思うのは私だけではあるまい。