銃・病原菌・鉄(上・下)

ニューギニア人の友達から聞かれた「なぜヨーロッパ人がニューギニア人を征服し、ニューギニア人がヨーロッパ人を征服することにならなかったのか?」という疑問からはじまった、ジャレド・ダイアモンドの文化論。
タイトルの「銃・病原菌・鉄」は旧世界が新世界を征服するのに役立ったもので、前述の質問に対する答えは、栽培可能な原生植物の有無、家畜として育成可能な大型動物の有無等による食糧生産の可否、もしくは食糧生産開始時期の違い、文化伝播速度の差、人口稠密度の差等が大きな影響を与えたものの一つとして挙げられている。
もっといえばそれは大陸の形、気候の違いによるものなので、場所が同じであれば中の人を変えたところで大勢に影響はなさそうである。それはつまり人種による優劣を否定していて、その点で優秀な本である(もっとも歴史は偶然の積み重なりであることは否定していないが)。
ただこの手の本にありがちなことだが、例を上げたり説明を繰り返したりがしつこい。しつこいからこそわかりやすい面もあるかもしれないが、どうにかならないものか。それだけ例を挙げてしっかりと説明しているともいえる。ちなみに著者の奥さんは日本人。