一四一七年、その一冊がすべてを変えた

二千年前に古代ギリシャで記されたルクレティウスの「物の本質について」を中世に再発見した人の話。
世界史には疎いので歴史の主舞台が古代ギリシャからローマ帝国へどのように移っていったか、またローマ帝国初期に異教徒であったキリスト教がどのようにして国教化したか、ということについて知らなかったが、そのあたりがクリアになった。昔ゲームセンターにあったタイル崩しのゲームで背景の画像が少しずつ見えてくる仕様のものがあったが、歴史の知らなかった部分を知ることは、アレに近い。
キリスト教の国教化に伴う多神教への迫害については、不勉強にして知らなかったのだが、なかなか衝撃的な話である。これを知らずして一部のムスリムの蛮行を非難するのは片手落ちというものである。もちろん、だからと言ってムスリムは何をしてということではないし、今更キリスト教が謝罪すべしというのでもないが、全キリスト教徒はキリスト教が多数派になるためにしてきたことを知っておくべきである。
2000年前の古代ギリシャで書かれた内容が「全てのものは不可分なまでに小さいもの(原子)でできている」というもので、またその内容によってキリスト教から敵視され、駆逐され、その600年後に発見され、それが後世に大きな影響を与えた、という歴史上の事実は何ともドラマチックである。

一四一七年、その一冊がすべてを変えた

一四一七年、その一冊がすべてを変えた