罪悪

フェルディナンド・フォン・シーラッハの短編集。
前作同様に、弁護士である著者が過去に関わった案件を集めたという体。題材となるのは刺激的なものが多いが、中には「秘密」のようなそれ以外で読者を引きつける作品もあるあたり、やはり只者ではない。
無駄のない端的な描写もまた前作同様だが、生きていく上で割と無駄なものの部類に入りがちな文学というものにおいて、無駄のない描写がまた一つの特色になるというのは面白いものだなあ。

罪悪 (創元推理文庫)

罪悪 (創元推理文庫)