居心地の悪い部屋

さまざまなタイプの小説を集めた短編集で、共通点はただ一つ、居心地の悪さ。いわゆる「奇妙な味」とも少し違う、もっと人を不安にさせるような話ばかりで、当たり前だが後味が悪い。
ただ、型に捉われないというのか、小説というジャンルの持つ可能性は私が考えているよりずっと広いように感じた。この感じは小説に限らずいろいろなものに対して感じるもので、あーこれでもいいんだ、という感じ。この感じを受けるたびに自分の頭の固さを痛感する。
それとは全く関係ないのだが、この本に収録されている『オリエンテーション』という短編の、

ドアがいつも開いているので、グウェンドリンはトイレの個室で隠れて泣きます。

という文を読んで何か思い出しそうになったんだけども思い出さなかった。気になる。
収録作品は下記。
ブライアン・エヴンソン「ヘベはジャリを殺す」
ルイス・アルベルト・ウレア「チャメトラ」
アンナ・カヴァン「あざ」
ポール・グレノン「どう眠った?」
ブライアン・エヴンソン「父、まばたきもせず」
リッキー・デュコーネイ「分身」
ダニエル・オロズコ「オリエンテーション
ルイス・ロビンソン「潜水夫」
ジョイス・キャロル・オーツ「やあ! やってるかい! 」
レイ・ヴクサヴィッチ「ささやき」
ステイシー・レヴィーン「ケーキ」
ケン・カルファス「喜びと哀愁の野球トリビア・クイズ」

居心地の悪い部屋 (河出文庫 キ 4-1)

居心地の悪い部屋 (河出文庫 キ 4-1)